ビジネス

総会

税理士会支部の総会。

監事をやらされているので出席しないわけにいかない。

半年に一回、会計監査と業務監査をして総会で監査報告をする。

それが監事の仕事。

ま、監査報告と言っても議案書の監査報告文を読み上げるだけである。

書いてあるものを読み上げるだけというのもつまらないもので、

「議案書の監査報告に書かれていますのでお読みください。以上、報告します」とか

一度でいいから簡単に済ませてみたいのだが、

たぶん、それやったら顰蹙買うんだろうな…(^^;


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   総会風景

議案審議が順調に進んでもう終わりと思ったら、会場から質問が出た。

ある部の来期の予算についての質問。

いやな質問だなと思った。

監査のときにちょっと問題になった部分。

しかし、執行部がうまく説明して質問者もあっけなく納得して終了。

総会が終わると懇親会があるのだが、出席しないで帰る。

この頃、支部の懇親会のようなものはパスすることにしている。

若い頃親しかった税理士仲間もひとり減りふたり減りしてきたし、

それに、必要以上には顔を出さないようにしていれば、

そのうち役員選挙で落としてくれるだろう。

もう支部の仕事はいろいろやってきた。そろそろ御役御免にして欲しい。

支部の活動も若い人達が頑張ってくれればいいのである。

懇親会はパスして会場のホテルを出、そのあとは馴染みの蕎麦屋で軽く一杯。

入れてあった白州、少し日にちがあいたが無事を確認。

ちょっといい気分になって家に帰った。


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  白州の無事を確認 しばらく御無沙汰だったが取っておいてくれた。

建物の取得費

確定申告が終わった。今年の確定申告はかなり忙しかった。
毎年いろいろあるのだが、今年もちょっと面白い話があった。
しばらく前、相続があったところ。
相続で相続人の共有になっていた土地を売ったので、
その譲渡所得を申告しなければならない。
売った物件については、うちの顧問先ではない相続人が管理していたので、
あちらの顧問をしている税理士法人が譲渡所得の内訳書を作成し、それを送ってきた。
計算はしましたからあとは共有持ち分で申告してください、ということである。
それ自体は構わないのだが、その譲渡所得の内訳書を見て首をひねった。
譲渡所得は譲渡の収入金額から取得費と譲渡費用を引いて計算するのだが、
送られてきた内訳書を見ると、どうも取得費の計算がおかしい。
賃貸していた物件の減価償却、その未償却残高を取得費として計算しているのだが、
どうみても建物の修繕費だろうというのが含まれている。
例えば、建物の外壁塗装修理、退室のときにかかったのであろうリフォーム代、
その他もろもろ、内容からして修繕費と思われるものが減価償却に計上されている。
建物の外壁塗装修理とかは建物が大きくなるとかなりの金額がかかるわけだが、
建物の修繕維持管理のものである限り、金額が大きくてもそれは修繕費であって、
減価償却の対象になる資本的支出ではない。
それを資本的支出として減価償却しているわけである。
内容で判断せず金額が大きくなるとすべて減価償却ということにする。
農協が結構こういう申告をするのだが、税理士がそれと同じことをやっている。
で、建物の修繕・維持・管理のために必要なものは毎年の必要経費になるのであって、
譲渡所得の取得費にはならないのである。
減価償却の対象にしていてまだ必要経費にしていないから取得費だという話は通用しない。
つまり譲渡所得の計算が間違っているということである。
くだんの税理士法人、ホームページを見てみると、20人くらい職員のいる事務所である。
たぶん、営業力はあるんだろう。
金融機関や不動産会社とつながって立派な事務所構えていれば、
知らない人は立派な仕事してくれる税理士事務所と思うのだろう。
しかし、取得費間違えてるよね…。
うちは職員ひとりしかいない事務所だけど、たぶんもう少しいい仕事してるな(^^;


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    確定申告の打ち上げ、今年の山崎は出来がいいらしい。

もっと戦えってば(^^;

先日の税理士仲間の勉強会でのこと。
最近の税務調査って変わりましたね~、というので、なんの話かと思ったら、
質問応答記録書のことだった。
税務調査で必ず作成されるというものではなく、
審査請求や訴訟になる可能性がある税務調査や重加算税をかける場合に作成される。
その税理士さんの話では、修正による増差税額もたいして出ない調査で、
調査官は「重加算税たいして金額出ませんけど一応作らせて頂きます」と言って作成し、
社長に署名させたらしい。
内容は、社長の実家への交通費を認定賞与にされたという事案。
その実家は、以前は会社の相談役としていろいろ相談にのってもらい、支援もして
もらっていたということで、そういう相談や支援の要請のために実家に行く交通費を
費用計上していたらしい。
で、そういう相談や支援が少なくなってからも、
実家へ行く交通費を引き続き費用計上していたらしい。
その税理士さんの言うには
「まったく仕事に関係ないということないんですよ、今でも少し相談にのって
もらっていて」
とのことだが、どうなんだろ、ちょっと弱いんじゃないかな(^^;
交通費の経費否認、認定賞与自体は妥当なところのような気がする。
しかし、気になったのはその程度の内容で重加算税を課すということ。
重加算税が課されるのは「仮装または隠蔽があった場合」である。
この例の場合、仮装または隠蔽はあったのか?
会社は実家への交通費について交通費精算の明細書を作っていたわけである。
その交通費精算の明細書には行く先は実家が記載され金額等も事実を記載している。
つまり、隠蔽の事実はない。
税務署の指摘は「そういう交通費の清算明細書を作った時点で仮装だ」ということ
らしいが、会社は実家への交通費を費用として認識し、それをありのまま記載して
経理処理していたのであって、費用として認識したことに問題はあるかもしれないが、
仮装の事実はないのではないか?
少なくとも日本語の「仮装」にあたるものを見出すことは出来ない。
「質問応答記録書は署名を拒否してもいいんですよ、納得できないものに署名する
義務はありません」
「署名を拒否できるんですか?  そういう説明もまったくありませんでした。
たいした税額は出ないからと言われて…」
「重加算税の課税要件を満たしていないんじゃないですか?  そんなの放っといて、
向こうが重加算税かけてきたら争えばいいのでは?」
「でもたいした金額じゃないし…」
いや、だから、それが良くないんですよ(^^;;
戦わない税理士が多すぎるんだよ。
国税になにか言われると易々と従うような…。
納税者の権利を軽視するようなことを平気でやる調査官が散見されるのは、
ひとつにはそういう戦わない税理士の存在が背景にあるわけである。
この事案でも調査官の成績稼ぎで重加算税をかけようとしているのは見えすいている。
それを、たいした金額じゃないし、で済ませてどうする。
必要があれば税理士も国税も戦うのである。
納税者の権利が侵害されていれば税理士は戦わなければならず、
不届きな納税者がいれば国税は戦わなければならない。
互いに戦うことで租税正義は実現するのであって、
そういうところで安易な妥協はしなくていいのである。
もっと戦いましょうよ(^^;;;


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   立春の朝に搾ったという日本酒
 毎年この時期、アーチェリーの常連仲間から買っている。
 美味しかった。

研修会

税理士会の研修会、ちなみに税理士は年36時間以上の研修を義務づけられている。
新型コロナの間、税務調査はあまりおこなわれなかったが、
コロナが収束してきて税務調査は活発化している。
今回はその税務調査について事例を検討する研修会。
3つの事例を検討したのだが、いずれも内容的には面白い事例。
そのなかで目にとまったのが、
原告代表者の個人的な飲食費を交際費に計上していて否認された事例。
原告の会社社長A。ひいきのホステスがいたみたいで、そのホステスの在籍している
クラブに頻繁に同伴出勤やアフターを繰り返していたらしい。
で、ほとんどが1人飲みなのだが、それを交際費に計上していた。
税務調査でそれを否認されたのだが、
その辺の経緯がなかなか面白い。
顧問税理士かなり頑張っていて、税務調査での交際費以外の指摘事項については
それをひっくり返したのだが、Aはそれでも気に入らなかったらしく、
途中からこの税理士に報酬を支払わなくなったらしい。
最終的には顧問税理士とAとの間で報酬支払の民事訴訟をおこされてAは負けて
いるのだが、ま、Aはかなり癖の強い経営者だったんだろうな…。
そのAをかなり怒らせたのが税務署の調査官であったらしく、
よせばいいのに、ひいきのホステスの写真を示しながらAの奥さん(会社の取締役)にも
説明を求めなければならないとか迫ったらしい。
強引に責めれば根を上げると思ったのかもしれないが、
むしろAを怒らせて税務調査では終わらず訴訟までいった。
顧問税理士が指摘事項をかなりひっくり返すことが出来たのも、
あるいは調査に強引さがあったのがひとつの理由かもしれない。
その辺の経緯の面白さは面白さとして、
重加算税の課税要件についての検討も勉強になった。
確かに税務調査の現場にいると、
重加算税を取ることが調査官の成績になっているのかどうかは知らないが、
調査官が安易に重加算税を持ち出す傾向はある。
というか、調査官に言われるままになる税理士が結構いるんだろうな…。
だから調査官が安易になるのである。
そういう調査官を見ていると、Aの怒りが多少分からなくもない(^^;
ま、Aがしたことの是非は別として、正当な怒りは必要である。
ひいきのホステスとの飲み代を経費にしていた経営者への怒りは必要だし、
よせばいいのに、奥さんに話すぞみたいな脅し方をした調査官への怒りも必要である。
そういう怒りは立派に国民の権利だ。
面白い研修だった。

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    研修会風景

下見

確定申告を依頼されている顧客とシニアレジデンスの下見に行ってきた。
シニアレジデンス、いわゆるサービス付き高齢者住宅で医療・介護・日々の食事等の
サービスが充実した施設である。
その物件への送迎バスが出ている駅で待ち合わせ。
顧客は高齢のご婦人。数年前にご主人を亡くされ自宅でひとりで暮らしているが、
いずれ体が動かなくなったときのためにシニアレジデンスとの契約を考えている。
シャトルバスで到着したのは完成して日の浅い綺麗なレジデンスだった。
受付で手続きをして部屋を見る。
1LDKで高齢者の夫婦やひとり暮らしには充分な広さである。
キッチンはIHで火は使えないがスペース的には問題ない。
ウォークインクローゼットもついていて収納も割とある。
ベランダからは湘南の海が見える。
購入ではなく、これから先の賃料を一括して支払う形の契約だが、
それでも4000万を超える。
1Fにはレストランがあり食事ができるのだが、その食事代は別個。
契約時に支払う費用のほかに光熱費や食事代などで月に25万くらいかかりそうだ。
風呂は1Fに大浴場があり、毎日3時以降好きな時に入れる。
認知症などになって自分のことを自分でできなくなった場合は、
レジデンス内の別の部屋に移ることになるが退去は求められない。
その辺の契約内容も確認。
そのご婦人とは、これから任意後見契約を結び見守ってゆくことになる。
見守り契約・財産管理委任契約・任意後見契約・死後事務委任契約・遺言執行人。
一連の契約を公正証書で作り万全を期す。
信頼され頼まれた以上、応えなければならない。
長い見守りが始まる。

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 公孫樹の黄葉


103万の壁

103万の壁というのが最近よく聞こえてくる。
そういう分野で仕事をしている人間としては違和感は否めない。
この前の選挙で「働く人たちの手取りを増やす」という某政党の主張から
始まったわけだが、103万の壁というのは主婦にとっては配偶者特別控除が出きて以来、
あまり意味はない。本人の収入にも税金がかかるようになるが、103万を
多少超えるくらいではたいした税金ではない。
現在、103万の壁が関係するのは親の扶養に入っている学生のアルバイトだろう。
苦学している学生を支援するのは当然だし、その親も支援できた方がいいのである。
しかし、最初に出てきた「働く人たちの手取りを増やす」ということとは、
多少ずれているような気がする。
壁のために働く日数を抑制するのが問題なら、
税金よりむしろ社会保険の方でそれが大きい。
106万の壁、130万の壁というのがそれだが、
106万の壁については厚生労働省が出した試案は、壁の撤廃にはならないだろう。
現状の従業員51人以上という条件を撤廃し、さらに働く人の保険料負担を減らす
ために、保険料の会社負担を9割に増やすというのであれば、
中小企業はパートも含め人の採用に慎重にならざるを得なくなる。
人手不足でも社会保険の負担が大きすぎて人を雇えないという話も出てくるだろう。
経済にいい影響を与えるはずがない。
103万とか106万とかはなくしてしまい、
130万の壁で統一するか、あるいはそれももう少し引き上げるか、
財源の問題はあるんだろうがその辺が妥当なのだろうか。
いずれにしろ「働く人たちの手取りを増やす」というのは、
給料から引く税金や社会保険料を減らすということで実現するのではなく、
収入そのものが増えるように国の政策で考えなければならないことであるはずだ。
103万とか106万とか130万とか、数字だけにスポットが当てられ、
どうも話がずれていっているような気がするのである。


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  アーチェリーの射場の銀杏が黄葉した
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