越後湯沢からは三国峠を越えて帰った。
関越トンネルを通って帰るのが一番早いわけだが、
春の三国峠越えの道は残雪と桜と新緑が綺麗だ。
群馬側に入るとハナモモと林檎も沢山咲いている。
いつからか春は好んでこの道を通って関東に帰るようになった。
今回も三国峠を越えて帰ってきたわけだが、
途中にある名胡桃城に立ち寄ってきた。
どう見ても道路沿いのイタリアンかなにかの店にしか見えない建物が
名胡桃城の案内所である。
城の由来については諸説あるらしいが確実なのは信州の真田が上野に進出した
ときに作った城ということである。
なかに入るといろいろな展示があるのだが、そのなかに馬場あき子の歌があった。
名胡桃城址われは本丸の草にゐて草の時間の深さに酔へり
三の丸二の丸越えてはるかなる本丸までを夏草の城
人間の時間植物の時間と争ひし城址つくづくと青空はみる
ほろびたる名胡桃城址の四百年青バッタ赤バッタ飛ぶ野となれり
今は草に覆われている名胡桃城。
その城址ではるかな時の流れを思うわけで、
芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」ともちょっと違う感じがする。
「青バッタ赤バッタ」とか、馬場あき子の目はかなり細かいところにも向けられている。
一番奥、本郭の奥がささ郭である。
ささ郭に立つとこの城がよく分かる。
本郭がむき出しにならないようにささ郭を作ったとか、脱出口として作ったとかの
話があるが、たぶん違う。
利根川の河岸段丘に作られた名胡桃城。
ささ郭に立つと沼田盆地が一望に出来る。
沼田城も当たり前に見えてその辺での軍勢の動きも容易に把握できただろう。
名胡桃城は守るために作られた城ではない。
沼田を攻めるための拠点として作られた城である。
真田はそのためにこの城を作った。ささ郭に立てばそれがよくわかる。
春の青空と新緑の沼田盆地を見ていると、そういう歴史も文字通り遥けく思えてくる。
ところどころに咲いている八重桜やツツジが綺麗だ。
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