確定申告が終わった。今年の確定申告はかなり忙しかった。
毎年いろいろあるのだが、今年もちょっと面白い話があった。
しばらく前、相続があったところ。
相続で相続人の共有になっていた土地を売ったので、
その譲渡所得を申告しなければならない。
売った物件については、うちの顧問先ではない相続人が管理していたので、
あちらの顧問をしている税理士法人が譲渡所得の内訳書を作成し、それを送ってきた。
計算はしましたからあとは共有持ち分で申告してください、ということである。
それ自体は構わないのだが、その譲渡所得の内訳書を見て首をひねった。
譲渡所得は譲渡の収入金額から取得費と譲渡費用を引いて計算するのだが、
送られてきた内訳書を見ると、どうも取得費の計算がおかしい。
賃貸していた物件の減価償却、その未償却残高を取得費として計算しているのだが、
どうみても建物の修繕費だろうというのが含まれている。
例えば、建物の外壁塗装修理、退室のときにかかったのであろうリフォーム代、
その他もろもろ、内容からして修繕費と思われるものが減価償却に計上されている。
建物の外壁塗装修理とかは建物が大きくなるとかなりの金額がかかるわけだが、
建物の修繕維持管理のものである限り、金額が大きくてもそれは修繕費であって、
減価償却の対象になる資本的支出ではない。
それを資本的支出として減価償却しているわけである。
内容で判断せず金額が大きくなるとすべて減価償却ということにする。
農協が結構こういう申告をするのだが、税理士がそれと同じことをやっている。
で、建物の修繕・維持・管理のために必要なものは毎年の必要経費になるのであって、
譲渡所得の取得費にはならないのである。
減価償却の対象にしていてまだ必要経費にしていないから取得費だという話は通用しない。
つまり譲渡所得の計算が間違っているということである。
くだんの税理士法人、ホームページを見てみると、20人くらい職員のいる事務所である。
たぶん、営業力はあるんだろう。
金融機関や不動産会社とつながって立派な事務所構えていれば、
知らない人は立派な仕事してくれる税理士事務所と思うのだろう。
しかし、取得費間違えてるよね…。
確定申告の打ち上げ、今年の山崎は出来がいいらしい。