たんぽぽの綿毛を吹きぬ幾本もいくほんもふく闇が来るまで
/ 田口朝子
田口朝子の第一歌集『朝の光の中に』のなかの一首。
子供の頃、たんぽぽの綿毛を吹いた記憶はたいていの人にあるだろう。
綿毛を吹いて遊んでいるうちに夕暮れになってゆく。
そんな子供の頃の記憶がよみがえってくる。
ただ夕暮れになるというのではなく、
そのさきに異界があるような、
そんな不思議な感じがある。
「日が暮れるまで」でなく「夜が来るまで」でなく「闇が来るまで」。
その言葉の選択がいいのだろう。
それと、この歌「吹きぬ幾本も」は漢字で「いくほんもふく」はかなである。
同じ漢字が連なるのを避けたのだと思うが、
この辺の工夫はどうだろう。確かに同じ漢字が連なるのは煩いが、
前半は漢字、後半はかなというのが少し工夫が見えてしまっている気はする。
もうひと工夫できるのかもしれない。
ところでこの歌集を頂いたのは一昨年の六月。
頂いた歌集が読む時間のないまま積んであるのだが、
なんとか仕事の合間に読もうと頑張っている。
確定申告も終わり、ようやく短歌と向き合う時間が少しとれるようになってきた。
もっともこのあと五月になればまた法人の三月決算の申告で仕事に追われるのだが。
小ぶりだが鶏冠の黄色いいいタケノコ。