新型コロナで増えた宅配サービス。
ウーバーイーツもそのひとつだが、ウーバーイーツを利用する店舗は
消費税の申告について注意が必要だ。
ウーバーイーツを利用する店舗には一週間に一度、売上金の振り込みがありメールで
その簡単な明細が送られてくる。
一週間分の売上の金額とそこから引かれているウーバーイーツの手数料、それと
消費税差額調整とかいうのがあってその差し引き後の金額が振り込まれる。
基本的には引かれているのは売上の35%ほどであり、
ウーバーイーツが宣伝している手数料のパーセントとほぼ一致している。
ただ、そのときにより微妙にパーセントが変わるので、
どうも単純に手数料が引かれているだけではないなと思い、
店の管理画面から調べてみた。
そしたら、入金の明細はちょっと違った。
ウーバーイーツは配達員が配達し、当然、配達員の手数料が必要になる。
この配達手数料は店の商品代金に上乗せされてユーザーに請求され、
ウーバーイーツから配達員に支払われる。
ユーザーが支払った配達手数料は店の売上に加算されるのである。
店は商品売上だけではなく、配達手数料を加えた金額を売上に計上しなければならない。
そして、ウーバーイーツからの売上金振り込みのときにこの配達手数料を引かれて店の
経費になるので、差し引き店の手取りは同じである。
(最低保証の調整等あるので必ずしも一致しないのだが基本的にはそういう仕組み)
差し引き店の売上は変わらないので、ウーバーイーツから送られてきたメールの明細を
もとに売上と経費を計算しても法人税や所得税は変わらない。
しかし、注意しないと消費税が変わる。
なぜなら店の売上に加算される配達手数料は消費税の税率10%であり、
店の飲食物の商品売上は軽減税率8%である。
区分して計算しないと消費税の計算を間違えるわけだが、
ウーバーイーツから送られてくる週に一度の売上金振り込みの明細には
この配達手数料分の店への上乗せと店からの徴収が差し引きのように省略されて
いるので、うっかりすると見落とす。
消費税も売上と経費相殺で問題ないのではないかというとそういうわけではなく、
消費税の仕入れ税額控除は一定の要件を満たさなければならず、
相殺の見落としというのは本来は要件を満たさない。
もし簡易課税を使っている場合は税額そのものが変わる。
ならばウーバーイーツが配達手数料分も含めた明細を週に一回の振り込みの都度、
メールで送ってくれればいいのだが、ウーバーイーツはそれをやらない。
それをやると、ユーザーが支払った代金、すなわち店が売上と計上すべき金額の
半分近くがウーバーイーツに引かれているような明細になってしまい、
利用店に「こんなに引かれているのか」と思われてしまうかもしれない。
ウーバーイーツがそこまで考えてそういう明細を送っているのかどうかは知らない。