ゴールデンレトリバーのさくら、手術をした。
子宮蓄膿症。
人間の都合で避妊させるのが可哀想で避妊手術はしなかった。
避妊していない犬が高齢になってくると子宮蓄膿症にかかる確率はかなり高くなるらしい。
10歳を超えているので手術中の死亡ということもあるかもしれない、
そう言われた。
避妊させなかったのがいけなかったかと苦い気持ちだった。
手術の当日、病院につれていき昨日あたりから少し元気を取り戻したという話をしたら、
医者が首を傾げた。
元気になるというのは、あるいはそれ程、症状は悪化していないのかもしれず、
ならば、もっと設備の整った病院でCTをとってみますかと言う。
実際、超音波で診察すると、どうも子宮以外のところになにか影のようなものがあり、
それが気になるという。
どっちがいいのかしばらく話した。
もう歳である。いずれにしろ尿に混じって膿が出てきていて蓄膿症であることは間違い
ない。ここで手術を先延ばしして、さくらはこのあと手術に耐えられるだろうか?
最後は、「元気が少し戻ったところで手術してください。おなかを開けてみれば
子宮以外のそれもはっきりするでしょう」
そう決めた。
「分かりました。手術します。術中死もありますから、それは頭に入れておいてください」
最後にまた脅された。
手術が終わって動物病院に行ってみると、さくらは酸素室のなかで寝ていた。
先生の話では、子宮蓄膿症は思ったより進んでいたらしく、
取り出した子宮に針を差してみたら膿があふれ出てきたそうだ。
子宮以外のなにかの影に見えたのは、結局、子宮体の一部だったらしい。
「手術を決断したのは正解でした」
先生はそう言っていた。
今日また行ってみた。
昨日は寝たままだったが、今日はさくらは酸素室から出てきて一緒に帰ろうとした。
まだ点滴つながっているし、細菌感染を防ぐため、3日程は入院が必要だという。
さくら、もうしばらく我慢しろ。