2018年03月

歌会

今年に入ってから月に一度は歌会に出るようにしている。

去年はあまり出られなかったのだが、

やはり歌会に出ていないと歌を批評する力が落ちるのがはっきり分かる。

批評する力が落ちればたぶん作歌の力も落ちるわけで、

このままではいけないと、今年は月に一度は歌会に出ることを自分に強いている。

さて、湘南での歌会。

例によって気になった歌、というか気になったこと。

誌面発表前なのでここに歌は出せないが、

リビングの長椅子の端にいっぽんの茸がきのこの逡巡にある、

そんな歌意の歌。

この歌の読みについて歌会でいろいろな意見が出たわけである。

選歌した人は、

「長椅子の端に茸が生えたんでしょう、こんなところに茸が生えたのかと驚いたんで

しょうね、それをうまく表現していると思います」と、本当に茸が生えた説。

私は本当に茸が生えたとは思わなかったが、あくまでリアルで読んだ。

「リビングの長椅子に茸が生えるというのはあまり考えられない、

買ってきた茸を長椅子の端にぽんと置き忘れていたとか、それで、

なんでこんなところに茸があるんだ? と作者は訝っているんじゃないか?

そんなふうに読んだわけである。

どういう情景なのか分かりにくいのだが、

「茸がきのこの逡巡にある」という表現は面白い。

で、いろいろな批評が出ているとき、出席者のひとりがこう発言した、

「私はこの歌は、自分の事を詠んだのだと思います。

長椅子の端の茸というのは自分のことで、

自分の気持ちをこういうふうに表現したのだと」。

確かにリアルに読むばかりが歌の読みではないわけで、

そういうこともあるのかもしれないのだが、

実は歌会が終わってから、

「自分の事を詠んだのだと思います」とコメントした人がこの歌の作者だと分かった。

そうだとすると、ちょっとどうなのだろう?

自分の歌を作歌の意図を汲んで読んで欲しいという気持ちは分かるが、

歌会の意見を誘導するような発言は歌会のコメントとしては慎むべきではなかろうか?

自分の意図したように歌が読めるかどうか、第三者に伝わるのか、

それを試すのは歌会に歌を出す大きな目的であり、

それを「こう読んでください」と誘導するようなことをしてしまっては、

歌会に歌を出す意味が半減しそうである。

実際、くだんの歌は初句から結句まで描写的であり、

長椅子の端にあるいっぽんの茸を作者が見ている感じがある。

もし作者自身のことを仮託しているならば、違う歌い方もあるのかもしれず、

誘導的なコメントをしてしまっては、その辺の意見も聞けなくなるかもしれない。

作者が発言するとしても、「こういうふうに読める可能性はないだろうか」とか、

そのくらいにしておくべきではなかろうか。

ちょっとその辺が気になったのだった。

歌会が終わったあとは、会場の後ろの境川沿いの桜を眺め、プチお花見気分を

味わってから駅の近くで軽く一杯飲んで帰った。

新林公園
   藤沢 新林公園 旧名主の屋敷と桜

桜とタケノコ

確定申告が終わった週末、アーチェリーの射場に出かける。

確定申告の時期はブラック企業もかくやというくらいの残業をこなしているわけで、

終わったらとりあえず一息つかないと体がもたぬ。

射場はすっかり春の趣き。

焚き火をしている場所の脇のしだれ桜もちらほらと咲き始めている。

いつも五月蠅い常連仲間は今日は葉山に釣りに行っているのだが、

なんでも波浪注意報が出ているそうで、

相模湾はかなり波がたっているんじゃなかろうか。

船酔いしそうな気がするが、

ま、日頃のおこないの結果ということであろう(^^;

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   咲き始めたしだれ桜

静かな射場で弓を射る。

毎年のことと言えばそうなのだが、

今年の確定申告も結構大変だった。

というか、今年の場合、税理士会の仕事とか他の臨時的な仕事が時期的に重なったりとか

あって、振り回された感じはあった。

それはそれで仕事にはつきもののことで愚痴を言ってもしょうがないわけで、

ひたすら働いて仕事を終わらせる。

ただ、それだけである。

厳しい仕事が終わったあとの静かな週末。

桜が咲き始めて、ちょっと早い気はするがあと一週間ぐらいで満開になるのだろうか?

射場のタケノコもそろそろ出始めているようで、

素人にはまだ見つけられないが、

熟練した向きは20cmくらいのタケノコを掘り出してくる。

僅かな土の盛り上がりや地割れ、あるいは地面を踏んだときの微かな違和感で

タケノコを探しだすわけだが、これがなかなか難しいのだ。

ここの射場のタケノコは美味しい。

ここのタケノコを食べるようになってから、

スーパーのタケノコは馬鹿らしくて買わなくなった。

もうしばらくすると熟練者でなくても簡単にタケノコが採れるようになる。

桜とタケノコ、今年も射場でめいっぱい春を楽しもうと思っている。

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  鶏冠の黄色い良いタケノコ
 このくらいの大きさの方が美味しい

有価証券の取得費

確定申告真っ最中の休日、横浜市立図書館へ。

文学に親しもうというわけではなく、調べもの。

確定申告を頼まれた株の譲渡、売った金額から取得費や譲渡費用を引いて

計算するわけだが、相続で取得した株とかは、

親が幾らで買ったのか分からないというケースが結構ある。

以前は「みなし取得費の特例」というのがあって、

そういう株について、平成13101日の終値の80%で評価していいというのが

あったのだが、今は廃止されている。

どうしても取得費が分からない場合は、

取得費の分からない不動産の譲渡と同じで、

売却代金の5%を概算取得費として控除することになる。

しかし、5%の概算取得費って、つまり売却代金の95%は課税されるわけで、

税負担はそれなりになるわけである。

実際の取得費がもし売却代金の5%を越えるなら、そちらの方が税負担は少なく

なるので、一応、取得費を調べてみる。

株を管理していた証券会社の資料で取得した日にちは分かるので、

その日にちの株価を調べる。

最近はネットで結構調べられるのだが、

昭和30年代とか40年代とか、半世紀前の株価となるとネットでも調べられない。

証券会社に問い合わせれば調べてはくれるのだが、日にちがある程度かかり、

申告期限に間に合わないかもしれない。

じゃ、どうするかというと、

図書館に行って、その当時の新聞の株価欄を調べるわけである。

大きな図書館には新聞の縮刷版があり、結構古い年代から揃っている。

ちなみに普通紙より日本経済新聞の方がいい。

今はどうなのか知らないが、昭和30年代あたりの普通紙と日本経済新聞の株価欄を

比べると、普通紙の株価欄は多少省略があるのか掲載のスペースが小さい。

それにしても今は結構な株価の大企業の株が昭和30年代は40円とか50円とか

だったりして、ふ~ん、こんな金額だったんだとしみじみ思う。

買っている日にちの株価をひと通り調べたが、

これでは売却代金の5%の方が多いかもしれん。

5%の方が多ければそちらを選択して申告する。

調べにきただけ時間の無駄ということになるわけだが、それは結果論、

プロである以上、確認しないわけにはいかない。

4月下旬並みの暖かさという一日、確定申告の休養を兼ねて図書館に行き、

株価を調べ、帰りはちょっと買い物もする。

確定申告もあと10日、明日から最後の追い込みである。

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  都築 センター北のカレー屋 アジョワンのガーリックチキンカレー。
 毎年、確定申告の季節、近くのクライアントに行ったときに立ち寄る。
 スープカレーが美味しい。

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