今年の確定申告、今までとちょっと違ったのは、
ふるさと納税がかなり増えたということ。
制度が拡充されて節税効果が大きくなったということで、
結構やっている人が多かった。
で、そのふるさと納税、28年度の税制改正で企業版ふるさと納税というのが導入される。
早速、顧問先でその相談があったのだが、
あまり奨めなかった。
個人のふるさと納税はそれなりの節税効果もあるし、
通信販売かと思うぐらいの謝礼の品物があったりして、すっかり定着した感がある。
で、企業版のふるさと納税。
ネットでは「節税に有利」とかいろいろ書かれている。
節税に有利ね...。
試しに計算してみる。
法人税や法人地方税合わせて概算の実効税率30%とする。
ふるさと納税というのは基本的には寄付金なのだが、
今までも企業がしかるべき寄付金を支出した場合、寄付金としての損金算入があった。
10万円寄付して全額損金算入になれば、実効税率30%で3万円税金が減る。
それが28年度の税制改正の企業版ふるさと納税では、今までの損金算入の他に、
30%の税額控除を認めるという。
つまり、今までの10万円寄付して3万円の節税効果プラス3万円の税額控除である。
合わせて6万円の節税効果。
なるほど、これだけ見ればネットで紹介されている通り「節税に有利」である。
ただ、ホントにそうなのか?
10万円寄付して6万円の節税つまり結果的に節税効果としての6万円が手元に残る。
一方、10万円の寄付をしなかった場合3万円の税金。差し引き7万円が手元に残る。
これを「有利」というのだろうか?
もちろん、企業の社会貢献とかそういうことはあるのであって、
そういう考えからする寄付は別である。
ネットで書かれているような「節税効果」という点から考えている。
手元に残る資金がたいして変わらず、
かつ、寄付というのは資金投下に対するなんらかの効果を期待するものでもない。
「節税効果」としてはあまり有効ではないのではないか?
決算対策としての節税という場合、
我々税理士は、企業の今後につながる形での節税を提案する。
そのために資金投下をし、それを節税につなげる。
企業版ふるさと納税はそういう点ではあまり意味がないだろう。
寄付というのは、見返りを期待しない行為であり、
企業の社会活動として考えるものであろう。
それであれば、充分に意味のあるものであるはずだ。
今後、ふたたびどこかで大きな自然災害があるのかもしれず、
そういうとき、企業からの支援の受け口としても企業版ふるさと納税のような制度は
充分意味があるだろう。節税ではなく企業の社会貢献として、良い制度が作られたと思う。
横浜某所 水芭蕉の芽吹き
横浜で水芭蕉が自生しているのは知る限りではここだけ。
昨年まで一株だったが、今年は数メートル離れたところにもうひとつ
水芭蕉らしい芽吹きがあった。