2014年07月

動揺

建設業界の底辺に動揺が広まっている。

仕事が減っているとか、そういう話ではない。

社会保険への加入である。

法人は健康保険・厚生年金への加入が法律により義務づけられていて、

それ自体は以前と変わらないのだが、取り扱いが厳しくなった。

建設業界でも一番下の下請けあたりになると、社会保険料の会社負担が払えず、

未加入の事業者が結構多い。

法律上は違法なわけだが今までは行政もそれを追求しなかった。

社会保険料を支払えず滞納になる会社が増えるだけになっても意味がないからである。

国に入るべき保険料は入らず、被保険者への支出だけ増えても困るわけで、

資金繰りの理由で社会保険に加入できない事業者に対し、今までは見て見ぬふりを

していたわけだが、その辺の取り扱いがしばらく前から変わった。

建設技能者の処遇を改善し、将来の技能者の人手不足を防ごうと、

社会保険への加入を促進するようになった。

それ自体は結構なことなのだが、

問題は、社会保険に入りたくても入れない、そういう請負単価で仕事をせざるをえない

下請け業者がたくさんいるということである。

現在の請負単価では社会保険の会社負担分を支払えない。

つまり、社会保険に入りたくないのではなく、入れないのである。

そういう現状を無視して役所が、社会保険に入れ、という号令のもと動き出したので、

そういう業者の間に動揺が広がっている。

建設業許可を取っている業者については許可の更新時に社会保険加入の有無を確認し、

未加入のところは、社会保険加入の指導をする。指導に従わない場合は、2年間遡って

の保険料徴収等、今までの対応とは全く異なる強引な対応に変わった。

いずれは社会保険未加入の事業者は建設業許可が取れなくなる、そういう予定である。

で、保険料を払えない業者はどうするかと言えば、

仕方がないので従業員を解雇し、全員一人親方の孫請けに変えてしまったり、

なかには、負担できない会社負担の保険料分、社員の給料を減らすという動きも出ている。

そういうことをせずに企業努力で頑張る会社も、

保険料の負担が経営に大きな圧迫になることは変わらない。

国の目的は、建設技能者の処遇改善ではなかったのか?

ところが、現状を無視した強引な遣り方の結果、

むしろ建設業界の一部では社員の下請け化、給料減額、下請け企業の経営悪化等、

社員の雇用を不安定化する影響が出ている。

建設技能者の処遇を改善したいのなら、

下請けが会社負担の保険料を支払えるだけの請負単価で仕事が出来るよう

指導する方が先だろう。

確かに公共事業については国交省からの告示が出ているが、民間工事はどうなる?

コストダウンの皺寄せを引き受けているのは底辺の業者である。

彼らは保険料を負担できない請負単価のままで、社会保険に入れ法律に従え、と

迫られているのである。

日本の会社の99%は中小企業であり、日本の経済は中小企業が支えている。

どんな優れた製品も底辺を支える中小企業がいなければ作れず、

どんな大きな建物も底辺を支える中小企業がいなければ建たないのだ。

加入するのが法律上の義務だという建て前を振りかざしても仕方ないのである。

現実を無視して物事をすすめる国の遣り方は危険だと言わざるを得ない。

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  横浜 大通り公園

バーベキュー

首を突っ込んでいるNPOの年に一回のバーベキュー。

毎年なぜか7月の暑いときに金沢八景の海の公園でやる。

もう少し涼しいときにしても良さそうなもんだが、レクリエーションはNPOの

本来の活動の合間にやるのでこういう日程になる。

ま、若い女の子の水着姿を眺めながらのBBQということで暑いのは辛抱である(^^;

当日、所要があって買い出しの手伝いは出来ず、直接、会場に。

行くと、タープを張ったり、火をつけたりしている。

いつも参加者は20人くらい。

今年はタープがちゃんと張れてる(^^

最近の若いやつら、草食系かなんか知らんが、

タープやテントもちゃんと張れない、焚き火もおこせないというのが多い。

そりゃね、焚き火が上手くても出世はしないかもしれんけど、

男は火ぐらいつけられなくてどうする。テントぐらい張れなくてどうする(^^;;

昨年そういう調子で言ったものだから、

今年はちゃんとタープを張らないとまた言われるぞという感じで、

一生懸命張っていたのだそうだ(^^

タープはよしとして、火のつけ方はイマイチ気に入らない(^^;;;

団扇はパタパタパタと早く扇ぐ、そうやって焚き火に酸素を供給する。

寝てる子供団扇で扇いでるんじゃないんだから、ゆっくりゆっくり扇いでどうするんだ?
火が消えるだろうが(^^

ま、そんなこと言うと煙たがられるので、その辺は大概にしといてまずは肉を食う。

網焼き、鉄板と焼いてたらふく食う。

千葉の会員が毎年送ってくれる採れたてのとうもろこしも焼く。

肉も旨いが、このとうもろこしが旨かった。

回りの皮がついたまま焼いて、テキトーなところで皮をむいて醤油をたらしてまた焼く。

皮付きのままで焼くと皮のなかで蒸し焼きになるので美味しくなる。

この時期の海の公園、海水浴の客とBBQの客で結構混んでる。

5月頃は潮干狩りが出来て、子供が小さい頃は毎年連れてきていた。

ちなみに会員のひとりは子供が大人になっても毎年、生活のためにひとりで潮干狩りに

来て、採ったあさりを味噌汁や佃煮にしているのだそうだ。

かかる駐車料金と店で買うのと、どっちが安いかという問題はある(^^;

昼前から食べて飲んでいい気分になり、いろいろ話もして、

最後は芝生の上にひっくりかえって寝る。

3時過ぎ、夕立が少し降ったがたいしたこともなくやんで皆で撤収して引きあげる。

今日は結構日焼けした。

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  海の公園

歌会

ほぼ一年ぶりの東京歌会。

例によって気になった歌。

誌面発表前なのでここには出せないが、

戦前に似てきたとつぶやいて老い人は椅子に座った、

というような歌意の歌。

歌としては過不足ない感じで、上手い歌である。

ただ、私は気になった。

社会の右傾化がいわれるようになって久しく、最近は集団的自衛権の話もある。

右傾化しているとか、戦前に似てきたとか、九条を守れとか、

メディアのあちこちで出てくる言葉である。

そしてそれを詠った歌が既に沢山作られている。

それらに安易な歌が多いために、

今ではむしろそういう歌に時代迎合の匂いがまとわりつくようになった。

その時代その時代で受け入れられ易いことを詠ってもしょうがないのである。

歌人は戦前もそうやって時代迎合してきた。

敗戦により、そういう歌人の姿勢は戦後の歌壇から批判されたわけだが、

実は、戦前も戦後も、そして今も、

短歌の世界の時代迎合はたいして変わらない。

いつの時代も、その時代の雰囲気に流された歌は量産されている。それは現実である。
どうも短歌を詠む人には善人が多く、善人は結局、周囲に迎合するのか、そんな気
さえしてしまう。
世の中を憂えるのは人として当たり前の営みだし、
それを歌にするのも結構なことである。
戦前に似てきたでも九条を守れでもいい、
自分が本当にそう思い、その実感を表現したいならば、どんどん詠えばいいのだ。
しかし、それを良い歌にするためには、
安易な時代迎合の匂いのしない、それを越えた歌にしなければならないはずだ。
くだんの歌は過不足のない上手い歌なのだが、
時代迎合を越えたものは感じられず、いうならばパターンにはまっていた。
多く詠われていることと同じでその域を出ない。
歌は結局、自分の器量を越えては詠えず読めないわけで、
時代や社会への眼差しと意識がなければ、
こういう種類の歌は安易になりやすいのかもしれない。
 

歌会のあと、歌会で元気だった若い女の子ふたりとちょっと話をした。

今日は出席者が多かったので言いたいことの半分も言わなかったと言うので、

ならば横浜歌会においでと言っておいた。

「関東の歌会で一番レベルが高いのは横浜。人数も適正規模だから言いたいことが言える」

そう言っておいたので、横浜歌会の皆さん、その女の子ふたりが行ったら、

面倒みてやってください(^^

ま、ふたりのうちのひとりは元気を通り越して騒々しいかもしんないけど(^^;

それにしても、東京の歌会の人達の聞いている前で「関東で一番レベル高いのは横浜」と

しゃあしゃあと言うヤツも随分嫌なヤツで、

こういうこと言ってるとしまいには嫌われるかもしれん。

うーん、もう少し周囲に迎合した方がいいかな?(^^;;

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   東京 夏

オルセー美術館展

東京での歌会のついでにオルセー美術館展を見に行く。

横浜から東急、そのあと地下鉄を乗り継いで乃木坂、

この駅の6番出口が国立新美術館に直結している。

日曜だから混んでいるかなと思ったが、幸い待ち時間なしですぐに入れた。

ただし、絵の前は凄い人人人人・・・。

あれは音声ガイダンスもいけないんだろうな。

大抵の美術館で音声ガイダンスの貸し出しをしているが、

それぞれの絵の前でガイダンスを聞くために皆立ち止まる。

見るだけなら少しずつでも歩いていけば良さそうなもの、立ち止まってしまうから困る。

仕方ないので、大勢の人の合間から絵を覗きながら歩いていく感じ。

かなり沢山の絵が出ていて、内容の濃い展覧会である。

立ち止まった絵をあげてみると、

マネの「笛を吹く少年」      これは有名な絵で言うならば今回の展示の目玉。

ミレーの「晩鐘」    美術の教科書によく載っている絵、実物は小さい絵だった。

ブルトンの「落穂拾いの女たちの招集」  この画家を初めて知った絵にも月があった。

カイユボットの「床に鉋をかける人々」     なにかリアルで目を引いた。

モネの「かささぎ」           絵の隅の方にいるかささぎが印象的。

デュランの「手袋の夫人」           大きくて美しい絵。

モネの「草上の昼食」   この絵が二枚に分けられていたというのは知らなかった。

モネの「死の床のカミーユ」  色づかいと画家の性(さが)にギクリとさせられる。

いい絵が多く、もつとゆっくり見たいのだが、昼から歌会なので、

少し足早に会場を歩いていると、

あまり人だかりの出来ていないひとつの絵が目にとまった。

以前、本で見たことのある絵で、「あっ! この絵は」と思った。

フランス戦役 1814

メッソニエの「フランス戦役 1814年」である。

冬の、軍隊に踏み荒らされた畑だろうか、そこを進むナポレオンと麾下の将軍達。

背景には行軍する軍隊がいる。先頭を進むナポレオンは毅然として胸を張っている。

しかし、後ろに従う将軍達には疲労の色が見えるようだ。

モスクワ遠征に失敗し、ロシア、プロイセン、オーストリアなどの諸国軍がフランスに

侵攻してくる。それを迎え撃ちフランスを防衛しようとしたのがフランス戦役である。

モスクワの冬に敗れたナポレオンだが、祖国の危機にあたって、彼はその天才を蘇らせる。

戦術史上の傑作といわれるフランス戦役でナポレオンは何度も敵を撃破するが、

趨勢を変えることは出来ず、ついにパリも陥落し戦いは終わる。

1814年の冬は、何度も勝利を手にしながら、しかし流れを変えることが出来ず、

最後の戦いに向かう、時期的にはそういう時期のはずで、

冬の荒野でなお毅然としている天才ナポレオンの姿と、疲労したような将軍達の姿が

印象的である。

いい絵なのだが、あまり有名ではないゆえか、人だかりは出来ていない。

ま、音声ガイダンスにこだわる向きには、

有名な絵だけがいい絵だと思う向きも多いのかもしれん(^^;

絵でも短歌でもいいものは自分の感性で見分ける。

そういう姿勢が大切なんじゃないかと思って、

あまりガイダンスとか説明は聞かないようにしている。

説明を聞く前に見ろ、見て感じろ、そう思っている(^^;;

見応えのある展覧会。10月20日までやっている。

 

天城

天城に行ってきた。

リタイアして下田に住んでいる知人のところに遊びに行き船釣りをする予定だったのだが、

その知人、リハーサルで一人で船釣りに行ったところ、ひどい船酔いになって港に帰るまで
倒れこんでいたそうだ。
で、釣りはやめようということになり、山登りに予定が変わった。
東名沼津から伊豆縦貫道に入り天城峠へ。
旧天城トンネルまで車で入り、そこに車を置いて出発。
川端康成の「伊豆の踊子」に出てくる天城越えの道。
当時はこのトンネルの入り口に茶屋があり、
そこで主人公と踊子は初めて口をきくわけだが、
今はトイレが建っているだけ。せめて休憩所ぐらい作っても良さそうなもので、ちと無粋。
1901年に貫通し1904年に完成したこのトンネルは国の重要文化財になっている。

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  天城トンネル

そのトンネルの右わきから山道に入り登ってゆく。しばらく登ってゆくと天城峠に

出る。トンネルが出来る前はこの峠を人々は越えたわけだが、そう大きくもない山道の峠で、
そんな交通の要衝だったのかな?という気がしてくる。
ここからは平坦な道が多く、天城の森のなかを歩いてゆく。
ヒメシャラの木が多く、褐色のつやつやとした木があちこちにある様子は、
東日本の森を見慣れた目にはちょっと異質で、温暖な地方の森という感じ。

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  天城峠
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  ヒメシャラの大木

そのまま尾根をまくようにして森のなかを歩き続けると八丁池に出る。

コースタイムは2時間くらいなのだが、我々はかなりゆっくり歩いた。
八丁池というのは小さいが一人前に火口湖なのだそうで、
大昔、南の海から移動してきて本州にぶつかって地続きになったという伊豆半島らしい
火山地形である。山のなかの森に囲まれた静かな池。
周囲が八丁(町)あるので八丁池と呼ばれたのだそうで、
池の畔の案内板に英語で、丁は日本の古い単位だと書いてあるのだが、
何メートルとは
書いてない。
帰ってから調べたら一丁(町)は約109m。
八丁池の周囲は872mぐらいあるということになる。実際測ったわけではないので、
ほんとに周囲が何メートルかは知らない。

いずれにせよ、そのくらいの大きさの池で、そう大きな池ではない。

池のほとりに座って昼飯を食べているとだんだん曇ってきて霧が流れてきた。

霧の流れる八丁池というのも、なかなか風情があって良い。

見ていると、池の向こう岸、流れる霧の合間を鹿が歩いて行った。

「鹿がいる」と同行者2人に言うが、

2人には見えなかったらしく見間違えじゃないかと信じてもらえない。

なにか、もののけ姫に出てきた、池の向こうにあらわれるしし神のような、不思議な雰囲気。

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  八丁池

昼食を終えて下山、下山は登ってきた道ではなく、林道を寒天橋まで歩き、

そこから天城トンネルに登り返す。

暗いトンネルを歩いているとき頭のなかには石川さゆりの「天城越え」。

  寝乱れて 隠れ宿 九十九折り 浄蓮の滝~

  舞い上がり~揺れ落ちる~肩の向こうに あなた 山が燃える~

  何があってももういいの~ ・・・・

  あなたと越えたい~天城越え~♪

頭のなかは石川さゆりだが、実際はおじさん3人で歩いている。

う~ん...、ちょっとギャップはあるかな...(^^;

車を回収し、再びトンネルを越えて河津へ、
そこから海岸沿いに下田に出て今夜は下田に泊まる。

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     夕食は伊勢海老づくし

勉強会

税理士仲間の勉強会、毎月一度、土曜日に開いている。

税理士になりたての頃、先輩の税理士に声をかけてもらい入会。

昔は毎月必ず出席して先輩達の話を聞いていたのだが、

仕事が忙しくなるにつれて休みがちとなり、

近頃では半年に一回ぐらいの出席という不良会員になってしまった(^^;

ひさしぶりに出席することにし、ちょっと遅れて行ってみると、

生命保険の会社の人を呼んで、法人や相続対策での保険についての説明をしていた。

昔からある節税&企業防衛の手法で特に目新しいものはなく、

ふむふむと黙って聞いていた。

保険会社の人達が帰ったあとは、税法改正についてのビデオを見、そのあとは事例検討。

この事例検討が結構重要で、

どういう事例か、まず内容を検討し、どう判断するべきか、どう対処すべきか、

そういう意見交換を通して学んでゆくわけである。

それに、サムライ業というのは孤独なもので、

結局、自己責任で判断しなければならないわけだが、

そういう事案について勉強会で他の人の意見を聞くというのは、

かなり役に立つわけである。

税理士を探したい向きも、こういう勉強をしっかりしている税理士を探した方がいい。

実際、勉強していない税理士というのは結構いる(^^;;

最近、支部のなかでこういう勉強会の話をあまり聞かないが、どうなっているんだろう?

昔は幾つかあって、〇〇会とか、△塾とか、税務署OBの税理士だけが集まる勉強会など

もあったらしいが、今はどうなっているのか...。

私が所属している勉強会もそうなのだが、会員の高齢化は確実に進んでいる。

当日の出席者は10人くらいだったが、私より若い人はいなかったんじゃないかな?

高齢化が勉強会の活動を下火にしている気はするわけで、

あるいは他の勉強会も同じような感じなのかもしれない。

経験の浅い新人にとって、実務の話ができる勉強会は重要なもののはずで、

もっと支部で勉強会の活動の下支えとか新人への紹介とかしてもいい気はする。

で、ひさしぶりに出席した勉強会、

終わってから、先生ひさしぶりですね~と話しかけられるのをうまくスルーしながら、

ひとりの女性の会員に近づく。

「先生、お久しぶりです。ひとつお願いがあるんですが、いいですか?

支部報に載せる原稿なんですが、こういう題でお願いできませんかね」

実は、ひさしぶりに勉強会に出席したのは、

勉強するためではなく、

勉強会の会員である某先生に支部報に載せる原稿の依頼をするためだったという。

勉強会からみれば本当に不良会員だよね(^^;;;

ま、勉強会の皆様、

支部の広報の担当者としては原稿の書き手の確保というのは結構大変なわけで、

しょうもない不良会員でありますが勘弁してくださいませ。
忘年会には必ず出ますので(^^

 
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  紫陽花もそろそろ終わり

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