早朝、遠くのモスクからコーランが聞こえてくる。
現地発のキナバル登山ツアーのピックアップが6時なので早く起きて支度をする。
キナバルは山小屋の宿泊予約を取らないと登れないのだが、
予約はツアー会社などがほとんど押さえてしまい個人で取るのは難しく、
今回は現地発の登山ツアーを利用した。
ちなみに、この現地発登山ツアーを含めて今回の旅費は12万3千ほど。
予定より少し遅れて迎えに来た車に乗り込みキナバル国立公園に向かう。
同乗者は白人の若い女性3人組と東洋系の男性2人組、それと我々。
市街地とは反対方向に向かうので道は空いている。
見ていると高速道路でもなんでもない普通の道だが(90)という標識が出ている。
速度制限90kということだろうか、実際、我々の乗った車も結構飛ばしていく。
市街を抜けいかにも田舎という感じの風景のなかを走り、
だんだん標高を上げてゆくような感じで登ってゆく。谷の方には雲海が見える。
2時間ほどで登山口着。
ここで入山の手続きをするのだが、我々は登山ツアーを使っているので、
ツアー会社の方で手続きは既にしてあり、ガイドのマイケルと落ち合う。
現地の村に住む小柄な男で、年を聞くと42歳だという。
天気は良く、キナバルを背景に写真を撮ったりして出発。
同乗してきた白人の女性グループと東洋系の2人にはそれぞれ別のガイドがつき、
我々はマイケルと一緒に4人で登る。
登山口のオフィス、ここで入山手続き。
真ん中の赤いシャツを着ているのがガイドのマイケル
オフィスの前からキナバルを望む
熱帯のジャングルだから熱いかと思ったがそれほどでもなく割りと歩きやすい。
今日は宿泊するラパンラタの小屋まで標高差1600mを登るのだが、
30分おきくらいに休憩スポットがあり、思ったより楽に歩ける。
休憩所に着くたびに大抵、リスが出てきた。登山者がくれるパン屑などを
あてにしているらしい。
途中、うつぼかずらの写真を撮ったりしながらだんだん高度をあげる。
ランのような綺麗な花も咲いていて、やはり熱帯の森である。
休憩のときに仲間がマイケルに何回くらいキナバルに登っているのかと聞くと、
10年で千回登ったと言う。
週に2回か3回登るのだそうで、ガイドの仕事で登って降りて、また次のガイドで登る
ということを繰り返しているのだろう。42歳にしては老けて見えた。
登山道はよく整備されてゴミも落ちていない。たいしたものだ。
一緒の車だった白人の若い女性3人組は、足が長いだけあって先にスタスタと登って
行ったが、その様子を見ながら「あいつらバテるな」と思っていたら、
案の定、途中からペースが落ちたようで追い抜いた。
オフィスから再び車に乗って10分くらい、歩き始めるのはここから
うつぼかずら
名も知らぬ花
休憩スポットでは必ずリスが出てくる 根っこの上
ランのような花
熱帯の森
大きなうつぼかずら
出発前にネットでキナバル登山の記事を探して読むと、
「地獄のような急登が続く」とか出てくるのだが、
確かに急登ではあるが、地獄のような・・・というほどのものではない。
登り始めてから3~4時間は、なんだこんなものかという感じで歩ける。
ただ、それ以降はさすがに疲れがたまってきて、だんだんつらくなる。
最後に、きつくなったなというところで、中腹の開けた土地に出る。
ここにラパンラタほか幾つかの小屋があり、標高は3272m。
登山口から6時間だった。
山小屋の後ろにはまるで一枚岩が盛り上がったようなキナバルの斜面が広がっている。
登りの途中で少し降った雨の影響か、その岩盤の上を白く滝が流れている。
日本でも大きな岩壁はあるがスケールが違う。
ここまで登ってくるだけでも充分価値があるという感じの日本とは異質な風景である。
ラパンラタのレストハウスは日本の山小屋と比べるとかなり快適で綺麗、シャワーも
使える。とりあえず食堂でコーヒーを飲み、ドライのヌードル(つまり焼きそば)を
おやつに食べて疲れた体を休める。欧米人の登山者が多いのでそれに合わせてか
コーヒーカップがやたらでかい。窓からの景色がとても良い。
部屋は四人部屋で、行くと既に白人の男性がひとりベッドで寝ていた。
夕食までの時間、ベッドで休んだり、外に出て頂上に続く巨大な岩壁を眺めたり、
麓の方に広がる雲海を眺めたりして過ごす。
夕食はビュッフェ方式で結構美味しい。
明日は夜明け前2時半に出発するので早めの夕食をすませ早々に寝た。