GoToキャンペーンが混乱している。

東京での感染拡大が原因で、結局、東京を除外することになったが、

これで失望している人達も多い。

このGoToキャンペーンについては議論百出だった。

テレビで見ていたら、コメンテーターが国会議員を責めていた。

責めたくなるのは分からないでもないが聞いていて不愉快だった。

内容ではなくコメンテーターの言い方が嫌だった。

感染が拡大している状況でGoToキャンペーンをやれば感染が地方に拡大する。

言っていることは分かる。

その通りかもしれない。

しかし同時に、いま支えなければ地方の観光業がつぶれる。

これも事実である。

それが分かっているからみな苦しんでいるのではないのか?

夏休みの稼ぎ時のGoToキャンペーンを起死回生の思いで待っていた観光関係の

人達は日本中にいるはずである。

彼等が今かろうじて持ちこたえられているのは、

従業員を休業させた場合の雇用調整助成金の存在が大きい。

その雇用調整助成金は9月30日でコロナ対策の拡充が終わる。

夏休みの稼ぎ時がなくなり、雇用調整助成金もなくなったとき、

大量の失業者が出る。

それは分かっているのだろうか?

議論百出のなかで、ある大学教授が

「観光業がGDPに占める割合は小さい、それを支援する必要があるのか?」と

言っているのがあった。

東京のような大都市と地方で、経済に占める観光の比率は違うのだ。

この大学教授は国全体のGDPの比率で地方を切り捨てるつもりか?

観光業にはそれに伴う雇用がある。

地方では、公務員になるか親の農業漁業を継ぐか、あるいは観光業か、

それしか仕事がないというところがあるのだ。

そういうところはどうするのだ。

たぶん、学校の勉強しかしたことのない大学教授には世の中が見えなかったのだろう。

コメンテーターのなかにはさらに面白いことを言っている者がいた。

「感染が拡大したら大変なんだからそのお金を地方に使えばいいはず」

補助金というのは呼び水なのである。

呼び水となって、支出した補助金以上の経済効果を引き出す、それが補助金である。

人口の多い都市からの観光客があって初めてその効果は生まれるのであって、

人口の少ない地方にその金を直接投資したとしてどれだけの効果があるのか?

最初に出てきたコメンテーターもそうである。

感染が地方に拡大したらどうなるんだ、

言っていることは正しい。

しかし同時に、死に瀕している観光業はどうなるのか?

それに従事している人達は?

あのコメンテーターは失業率と自殺率との相関関係について考えたことはないのだろうか。

分かっている人間はみなそれが分かっているのだ。

分かっているゆえに苦しんでいる。

それが分かっているのならコメンテーターは、

もう少し苦渋に満ちた顔をして言えば良かった。

そうすれば「ああ、そういうことが分かって言っているんだな」と、

心ある視聴者はそう思っただろう。

それを、自分は正しいことを言っているみたいな顔をして語ってもしょうがないのである。

世の中は、正しい正しくないの二元論で言い切れるほど単純ではないのだ。

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  たまには酒を飲みにいかなければ店も酒屋も困るのだ。
 イチローズモルトは美味しい。