2021年09月

相続登記

相続登記を義務化する法律が今年4月成立し、

2024年までに施行される。

施行されて以降は、相続により不動産を取得してから3年以内に相続登記をしないと

罰則が科される。

ちなみにこの法律、施行以前の相続により取得した不動産にも適用されるので、

うっかりしていると、いずれ罰則を受けることになる。

相続した土地が先代や先々代の名義のままになっているということは結構あって、

土地を売るときや土地を公共のために収用したりする場合に困るわけである。

死んだ人は土地を売れないわけで、相続登記をしてからでないと売れない。

遺言状や遺産分割協議書&印鑑証明があれば年数が経ってからでも相続登記は出来るが、

そういうものがないと相続人を調べないとならない。

最初の相続人が既になくなっていれば代襲相続で、なくなった相続人の相続人を

探さなければならない。そちらもなくなっていれば、さらにその相続人を調べる。

なかには所在不明の人もいれば、認知症の人もいる。

全員なんとか探し出しても、なかにはハンコ代を払えと言う人もいるわけで、

つまり、手に負えなくなるわけである。

今、日本にはそういう土地が溢れている。

それを解決するための法律改正である。

必要になったら相続登記すればいい、わざわざお金をかけなくてもいい、

そういう風潮があったわけだが、

長く放置すると、いざ登記したくても登記できなくなっているということがあるわけで、

いずれにしろ、相続登記は相続が終わったら早めにやっておいた方がいい。

相続登記といえば思い出すことがある。

もう昔の話だが、税理士会の税務相談に初老の夫婦がやってきて、相続の相談を受けた。

土地の評価とかいろいろ聞いたあとで、相続登記に必要なものを聞かれた。

遺言状がなければ、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明、戸籍の謄本等、

そういうものが必要
と説明すると、夫婦ふたりとも、えっ! と目を丸くした。

その相続は初老の夫婦の奥さんとその妹さんが相続人だったのだが、

つまり、妹さんにはなにもやらず、勝手に相続登記をしようとしていた、

それが出来ると思っていたのである。

通用するわけないだろ、そんなの(^^;

他の相続人無視して勝手に相続登記が出来れば、

相続で争っている人達、みんなそれをやって大混乱だよね(^^;;

「なんとかならないんですか?」と旦那さんの方が聞いていたが、

なんともならないものはなんともならない。

というか、自分達だけで勝手にできると思わない方がいいよ、と言いたかったが、

言ってもしょうがないと思ったので、不満そうに帰る二人を見送った。

まあね、相続というのはえてして他人の始まりだから

やはり相続登記は出来るうちにしといた方がいい。


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  曼珠沙華 

敗戦処理投手

敗戦処理投手のやうに引き継いでデスクのうへの灯をともしをり

                            / 真中朋久『雨裂』

 

好きなタイプの歌である。

初句字余りを怖れない。

思い切った言葉、いささか強い言葉を使うことを躊躇わない。

そういう言葉を持ってきたうえで一首のバランスを考える。

彼がそういうことを考えてこの一首を詠んだのかどうかは知らないが、

こういう一首の構成の仕方好きなのである。

「敗戦処理投手のやうに」というのは、いささか強い比喩である。

この強い上句をなだらかな下句につなげる。

下句のひらがなの多さもあるいは計算済みなのだろうか。

もっとも、そうやって作った歌ではないのかもしれない。

真中氏の経歴はあまり知らないが、勤め先を退職した、そういう経緯のなかで

詠まれた歌であれば、作り方どうのこうのではなく、いささか強い比喩も、

素直な実感なのかもしれぬ。

仕事に追われ小手先で詠んだような歌しか作れないこの頃の自分に、

いささかの自己嫌悪は覚えている。

そういうとき、こういう歌を読むと、

もう一度、やり直せ、と自分に言い聞かせる気分になる。


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  ラピュタのロボット兵に見つかった 

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