2014年01月

安国論寺 妙法寺

久しぶりの湘南歌会、歌会は午後からなので午前中は鎌倉を歩く。

鎌倉駅から若宮大路を観光客の行く鶴岡八幡とは反対の海の方に行き、

JRの線が道路を横切る手前を左に折れる。

そのまましばらく歩いてゆけば安国論寺の表示が出てくる。

鎌倉でもこの辺りは観光客の少ないところ。

安国論寺も訪れる人の少ない小さな寺である。

立正安国論を説いた日蓮が活動の根拠にしていたという辺りに建てられたのが

安国論寺と隣の妙法寺。、

歩いて100mぐらいのところにある寺なので、昔はひとつの寺域だったのかもしれぬ。

鎌倉のこの辺りはあまり歩いたことがなかったのだが、

久しぶりの湘南歌会のついでに梅の花が綺麗だというので訪ねてみた。

日蓮が時の幕府に立正安国論を建白したのは1260年。

その数年前、インドネシアのロンボク島で世界史的な大噴火が起きている。

成層圏まで届いた火山灰は世界各地に異常気象をもたらし、

ロンドンではこの時期に符号する大量の人骨埋葬地が発見されている。

日本でも飢饉が起きた。

いつの時代どこの国でも飢えた農民達は土地を捨て都市に流入する。

日蓮が布教活動していた鎌倉にもそういう人々が大勢いたはずである。

宋を圧迫するモンゴルの情報も貿易を通して市井の人々にももたらされただろう。

社会不安のなかで人々はなにかに頼る。

法華経を信じれば異常気象がおさまるわけもないわけだが、

遥か南の巨大噴火とその気象への影響など人々は知らないわけで、

日蓮の周囲には支持者が集まった。

しかしそれは不安定な社会状況のなかで危険な存在とも見られるわけで、

既存の宗教や権力からの激しい排撃に遭う。

この安国論寺や隣りの妙法寺のあたりも襲撃されている。

その辺りを歩いてみる。

日蓮の時代は貧しい草庵があっただけなのかもしれないが、

その後、弟子によって寺が建てられた。

大きな寺ではない。

鎌倉らしい尾根に囲まれた浅い谷のなかの小さな寺である。

山門をくぐり本堂に向かうと、その左側に白い花を咲かせた割と大きな山茶花があり、

その隣には紅梅がわずかに綻んでいる。

楽しみにしていたのだが、まだ梅は早かったようだ。

本堂の右の方に日蓮が籠っていた岩窟のあとのお堂があるのだが、

見るべきものと言えばそのぐらいの小さな寺である。

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  安国論寺の山茶花
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  安国論寺のみほとけ

木の間を栗鼠が飛んでいった。

隣の妙法寺に行ってみる。

寺としてはこちらの方が大きい。

苔の石段が有名らしく、その写真を撮りにくる連中で迷惑しているのであろう、

三脚を持ち込んでの撮影は禁止と書かれている。

本堂の奥に再び山門がありその奥に苔むした石段があるという造りは、

下の本堂はあとから建てられたものということなのだろう。

上へ上へと上がってゆき振り向くと鎌倉の海が見える。

さらに登ると尾根の上に出て、護良親王の墓がある。

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  妙法寺 苔の石段
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  護良親王の墓と鎌倉の海

後醍醐天皇の皇子、護良親王。

鎌倉末期、建武新政の時代、戦う親王と言われた皇子で最後は鎌倉で幽閉され殺される。

ちなみに宮内庁指定の護良親王の墓が他にあるので、ここは本当の墓ではないらしい。

護良親王の子、日叡が日蓮を偲んで建てたのがこの妙法寺であり、

日叡はその寺の上の尾根、鎌倉の海が見えるあたりに無念のうちに死んだ父の墓を

作りたかったのであろう。

観光客もほとんど来ない。静かなところである。

尾根を下り寺の入り口に戻ると紅梅が咲いていた。入ったときには気付かなかった。

まだ僅かにしか咲いていないが綺麗である。

ここから細い道を通って、妙本寺、本覚寺を経て鎌倉駅に戻る。

ついでに八幡まで足を延ばし、境内で売っている焼きぎんなんを歌会の土産に買っていく。

ここの焼きぎんなんはなかなか美味い。

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  妙法寺の梅

自由

「駅前の駐車場で犬つれて黄昏て散歩してましたね」

アーチェリーの射場で常連のひとりから言われた。

たまたま近所に住んでいる人なので、

ゴールデンレトリバーのさくらを連れて散歩しているとたまにばったり会うのである。

そう言えば今朝、やはりさくらを連れて散歩していたら近所の人に

「会社を経営されてるんですか? 毎朝、散歩してて優雅だなと思って」と言われた。

別に優雅に散歩しているのでも黄昏て散歩しているのでもない(^^;

普通のサラリーマンが通勤電車に揺られている時間にそういうことをしているので、

優雅に見えたりするのだろうが、自宅から事務所は車で数分だから散歩してからでも
9時には事務所に行けるのである。
室内走り回れば運動はそれで充分という小型犬と違って、

大型犬は散歩させないと運動不足になる。
犬を飼いはじめたとき、子供達が「散歩は必ずさせるから犬飼おう~犬飼おう~」と
言っていたのであるが、
誰に似たのか買ってもらえばこっちのものという考え方をするやつらで(^^;;
最初からさくらの散歩は私の仕事になっている。
で、ここ数年、毎朝、仕事に行く前にさくらを連れて散歩している。
以前は坂道をさくらを連れて走って登ったりしていたのだが、
子供に「ゴールデンレトリバーと走ってる人なんていないよ、そのうち倒れるよ」と
言われてやめた(^^;;;
一見、優雅に見えても、
終わらなければ終わるまで徹夜してでもやらなければならないのが自由業。
労働基準法もなにもあったもんではない。
12月から5月までの税繁期は、家に帰れば日付が変わっているというのはざらである。
3時頃家に帰ると新聞配達のバイクが走っている。

仕事が終わって家に帰れば寝る前に朝刊が読めるのをあまり優雅だとは思えない。
ま、他人にはそういう部分は見えないから「優雅ですね~」ということになるのだろうが、
自由業というのはそういう厳しさがあるわけである。
そしてそれは自由も同じである。
自由にはそれに伴う厳しさがある。
独立して仕事をしたいと相談してきた後輩に言ったことがある。
「自由には飢え死にする自由もあるからね。覚悟を決めて頑張りな」
自由に生きられるのはそういう恐怖と向き合える者だけである。
いよいよ税繁期、しばらくは忙しい日が続く。

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   射場の水仙

歌会

「これ食うか?」夕焼け空に無患子の枝はあまたの実を差し出だす

 

この歌を結社誌に出したとき、

「無患子」に「むくろじ」のルビがふられていた。

詠草を出したときはルビをつけていなかったので選者がつけたのであろう。

それを見て、ああ、無患子が読めない人が多いんだな、と思った。

無患子は落葉高木、今の時期だと葉の落ちた枝に沢山の実が残っているので見つけやすい。

「無患子」という字が読めない人が多いのだから、

無患子の黒い実を羽子板の羽に使ったことを知っている人は少ないのかもしれない。

黒い実を包んでいる果皮は平安の昔から石鹸の替りに使われていたのだが、

それも知る人は少ないのだろう。

アーチェリーの射場に無患子の木があり、冬空に伸びた枝に無患子の実が沢山なっている。

それを見て、以前詠んだ歌を思い出したのだった。

ちなみにこの歌の初句「これ食うか?」は「千と千尋の神隠し」のなかで、湯婆婆の風呂

屋で怪物化したカオナシが千に言う台詞「これ食うか? うまいぞー」から取った。

夕焼け空に差し伸べられた無患子の枝を見て、

カオナシが千に差し伸べる手を思い出したのである。

そう言えば、歌会に出ることが減った。

以前は月に三度くらい出ていたのだが、去年の初めあたりから出る回数が減った。

理由は幾つかあるが、ひとつはひどく単純な理由で、忙しいからである。

税理士会の支部の役を引き受けさせられた時期と、歌会に出なくなった時期はほぼ重なる。

今まではしなくてよかつたことをしなければならなくなり、歌を作るヒマもなくなった。

歌を作るヒマがないからろくな歌が作れないまま、それでもなんとか歌会に出てゆくと。

不完全燃焼な歌会であることが多い(^^;

出席者が多いから発言の機会が限られ、それで不完全燃焼というのは仕方ないことで、

それはとやかく言うことではないのだが、人数が適正範囲でもメンバーが固定したような

歌会だと違う意味で、不完全燃焼とか不満がたまったりすることがあるわけである。

歌を始めた頃はそういう不満は感じなかったわけだが、

長くやっているといろいろ余計なものが目に付くようになる。

たぶんに仕方ないことなのだろうが、さりとて、忙しい中なんとか出てきた歌会が、

そういう不完全燃焼の歌会だとがっかりするのは事実で、

歌会に出ようというモチベーションに影を落とすのも事実(^^;;

そういうなかで、歌会の回数を減らしてその替り、自分なりに密度を濃くしたいと

思った時期もあったのだが、どうもそれもこと志に反しているかな...。

今年はもう少しその辺、考えてみたいと思っている。

それにしても、短歌を始め、結社に入った頃、

「歌会は真剣勝負」という言葉をよく耳にした。

最近は殆ど聞かない。

真剣勝負の歌会をやりたいものだ。

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  無患子

確定申告の手引

税理士会支部の今年最初の月例会、出席者が多かった。

というか、毎年1月の例会の出席者が一番多い。

別に新年で顔合わせということではない。

毎年1月の例会で出席者に、

その年3月の確定申告用の「確定申告の手引」を無料配布している。

税法は毎年なにがしかの改正があるので、

必ず新しい「確定申告の手引」に目を通しておかないとつまらないミスをしかねない。

別に特別な本ではなく、一般の本屋でも2200円で売っている。

同じような本はいろいろあると思うが、

なぜか税理士会は「税務研究会」の出している「確定申告の手引」を配布。

以前、予算の都合で配布されなかったことが一度だけあり、

そのとき、本屋でたいして中も確認せず別の出版社の似たような手引書を買ったのだが、

読んでみると調べづらくて使いにくかった。

長年使って使い慣れているということもあるのかもしれないが、

「税務研究会」の手引が一番使いやすい気はする。

どのへんに事業所得についての説明があるとか、譲渡所得の特例はこの辺という感じで、

おおまかにページを開けばだいたいその辺にゆきつく。

それにしても、支部では月例会の出席率をあげようと、毎回、月例会と研修会をセットに

したり、いろいろ工夫しているわけだが、研修会より販価2200円の「確定申告の手引」

を配布する方が出席率が高いというのが、なにやら面白い(^^;

ま、実際、仕事で使う本だからただでくれるなら貰った方がいいけど、

それを言ったら研修会だって、

毎年改正される税法について勉強するためにはおろそかに出来ないはずで、

2200円の本より価値のある研修会は結構ある気がするのだが。

以前、仲間と話をしていて、

士業で一番悪党が多いのはどの士業だろう? という話題になり、

医者と弁護士だろうという話になった。

医者のなかには医は金術と心得ている向きがいるのは残念ながら事実で、

弁護士は悪いことのやり方を知っている分、平気でどぎついことするのも結構いるよねと、

そんな話になったのだった。

そのときの話の最後に出たのが、

「それに比べれば税理士って小市民が多いよな~」

全員、同感したのだった(^^;;

研修会より2200円の本の方が月例会の集客力あるということは、

うーん...、やはり小市民が多いのかな(^^;;;

ま、小市民の方が中小企業の良きパートナーにはなれるかもしれない。

1月の源泉や法定調書が終わればいよいよ確定申告である。

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  小市民の願い 安産子育て

正月

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

さて、正月。

若い頃は年末年始のようにまとめて休みが取れるときは冬山に入っていた。

子供が生まれそういうことばかりしているわけにいかなくなってからは、

子供達を連れて正月はスキーに行っていた。

子供も大きくなり、親に付き合って遊んでくれなくなってからは、

正月は人並みに家で過ごすようになった。

元日の朝、ゴールデンレトリバーのさくらを連れて近所の神社で初詣。

雑煮とおせちを食べてから、桜木町の伊勢山皇大神宮へ。

神奈川で初詣というと、寒川神社、川崎大師、鎌倉の鶴岡八幡あたりがメジャーだが、

交通の便が良くて屋台もそれなりに並んでいるので、

子供の小さいときから桜木町の伊勢山皇大神宮に行っていた。

車で行くと紅葉坂のところで駐車場に入ろうとする車の列。

勝手知っているので、その列にはつかず野毛の方に回り込み、

テキトーなパーキングを見つけてそこから歩く。

思ったより人が少なくすんなりと初詣できた。

屋台で甘酒など飲んで正月気分を味わい、

駐車場の入口で延々と並んでいる車の列を横目にさっさと帰る。


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  伊勢山皇大神宮

2日は通っているアーチェリーの射場の初射ち。

毎年2日から射場が開き、獅子舞が来る。

新年の挨拶をし、しばらく練習場で射ってからコースを回り、

降りてくるとちょうど獅子舞が来た。正月からタイミングがいい。

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 獅子舞

3日は鎌倉へ。

鎌倉と言っても初詣ではない。

歩きに行く。

今年、ちょっと大きめな登山を計画していて、それに備えて体をしぼりたい。

ほんとなら丹沢にでも登りに行けばいいのだが、夕方、家にいないといけない用事が

あるので、丹沢はやめて鎌倉まで歩くことにする。

家から鎌倉まで約16k。さらに天園のハイキングコースでも歩けばトレーニングには

なるだろう。ついでに初詣もしてくればいい。

雑煮を食ってから出発、ただただ歩く。

怪しいオヤジみたいに速足で歩き不動坂で1国を渡る。

警官が出て箱根駅伝の交通管制の用意をしている。

そこから戸塚駅、ここまでで1時間。

戸塚から笠間の十字路、そこで左折して鎌倉女子大のところで右に入り大船方面へ。

疲れてきたせいかここが案外長く感じたが、大船警察を過ぎJRの踏切を過ぎるとT字路

になり左に行けば鎌倉。三が日は一般車はここから鎌倉方面には入れず、警官が出て

交通整理をしている。その道をさらに行けば北鎌倉の駅。

着いた。

ここまでで14.4k、家を出てから2時間20分。

時速6kで歩いてきたという計算。

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 北鎌倉駅

ここからは観光客が多くなり、あまりしゃかしゃか歩いているのも妙なので、

観光客に交じってフツーに歩く。

人の多い円覚寺は素通りし東慶寺に立ち寄る。

梅が少しは咲いているかと思ったが、まったく開いていなかった。

蝋梅が黄色い花を咲かせている。

ここには北条時宗の夫人、覚山尼のやぐらがある。

以前、この寺を訪ね偶然見つけた。

時の最高権力者の夫人の墓とは思えない質素な墓である。

北条の裔の裔の端っこあたりに連なる身として、せっかくなので手を合わせていく。

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  東慶寺の蝋梅 覚山尼のやぐらは寺の奥にある

ここから建長寺へ。

建長寺でも形通りに初詣をして奥の半僧坊に登り、そこから天園のハイキングコースに入る。鎌倉を囲む山の北側部分の稜線に続いているのが天園のハイキングコース。

尾根の上からは相模湾や富士も見え、緑濃い鎌倉の縁を歩いていくような道で

古いやぐらがあったり、道のほとりに地蔵さんがぽつんとあったり、

それなりに歴史と風情のある尾根道である。

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 建長寺三門
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 天園ハイキングコースから、建長寺と相模湾

ここでもひたすら歩く。

正月そうそう天気のいいハイキングコースをなんで必死になって歩いているんだと思われ

そうだが、こっちはトレーニングで歩いている。ハイキングしているつもりはない。

道ゆく人を片っ端から追い抜いて天園ハイキングコースの終点、瑞泉寺に着く。

ここまで家を出てから4時間。

距離にしたら20kぐらいだろうか。

1時間あたり5kにペースダウン。

途中、北鎌倉から建長寺まではゆっくり歩いているし、初詣もしているので仕方ない。

半日のトレーニングとしては良しとすべきか。

まだ花の咲いていない瑞泉寺をお詣りし、鎌倉宮、荏柄天神、八幡と歩く。

やはり鎌倉の中心に行けば行くほど人が多くなり、鎌倉宮以降は初詣の行列なので、

遠くから手を合わせるだけで素通りさせてもらう。

八幡は境内に入りきれず若宮大路まで参拝の行列が続いていた。

飲まず食わず休憩なしで歩いてきたので、さすがに腹が減ってきた。

人混みを抜け、鎌倉駅の近くの寿司屋でまずはビールで喉を潤し鮨を食う。

子供に「鎌倉すごい人出だ、駅も混みそう」とメールしたら、

「帰りも歩いたら」と素っ気ない返事。

さすがに帰りまで歩く気力はなく、混んでいる電車に乗って帰った。


今年もこんな調子で1年がんばります(^^;

よしろくお願いします。



 


 


 

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